(2) 大型構造体の設計着目ポイント(その2)

大型構造体の設計において、既存の小型構造体をスケールアップする手法を用いることがあります。この場合、溶接部の設計に注意しないと溶接部が必要以上に大きなサイズになっていることが多く見受けられます。必要以上の大きな溶接はその溶接工数が増大するのみでなく、溶接熱変形の増大、矯正作業の発生などの弊害を生じさせます。


通常の溶接構造体の場合、主要部材同士の溶接はすみ肉6㎜程度とするのが適切です。例えば、鋼構造設計基準(日本建築学会)では、SS400材に対応したすみ肉溶接部の許容せん断応力は90N/mm2とされているので、溶接サイズ6mm×長さ100mmの片側すみ肉溶接での設計耐力は
のど厚×溶接長さ×許容せん断応力=(6/√2)mm×100mm×90(N/mm2) = 38.1(kN)
となり、3トン以上の耐荷重が期待できます。作用する荷重に適した必要最小限の溶接設計を行うことが製造コストダウンの大きなポイントとなります。

溶接サイズにも最適設計が必要です。例えば、溶接サイズ6mm×長さ100mmの片側すみ肉溶接の設計耐力は3トンを上回ります。

溶接サイズにも最適設計が必要です。例えば、溶接サイズ6mm×長さ100mmの片側すみ肉溶接の設計耐力は3トンを上回ります。