大型精密構造体特有の注意事項
応力除去焼きなまし(焼鈍)について

大型部品に高精度を求める場合、製缶であっても鋳物であっても残留応力除去のための焼鈍が必要です。焼鈍時期は機械加工の粗加工後で仕上げ加工の前がベストですが、必要精度が高くなければ、製缶も鋳物も粗加工前に行うこともあります。焼鈍温度はJISで規定されています。焼鈍を行わない場合は、製品になった後に経時変形を生じる可能性があります。なお、焼鈍による残留応力除去効果は製缶でも鋳物でも差はありません。
輸送について
陸上輸送の場合、道路交通法により、製品サイズは、積載幅は3.5m以下、積載高さ4.3m以下、重量は約20ton以下と制限されています。また、積載幅が3m未満であれば24時間走行可能ですが3m以上の場合はPM9:00-AM6:00の走行しかできず、更に先導車も必要になるのでコスト的に不利になります。また、大型トレーラーではなく10tトラックが使えるサイズであれば、大幅に輸送コストが下がります。

機械加工時の温度管理について
機械加工時に製品の上面と下面または側面で温度差があると、曲がり変形が発生します。この変形量は製品が大きければ数百μmのオーダになります。
製品の温度差は、工場に窓があり太陽光が工場内に入ってくる場合は、かなり大きくなります。従って精密な大型部品を加工する場合は窓が無く、温度管理が出来る工場を選定すべきです。温度管理がしっかり出来ていない工場では、製品精度にばらつきが生じやすく、温度の状況によっては不良品ができてしまうことがあります。